永住申請と交通違反|許可できる違反回数は?


はじめに

「昔、交通違反をしてしまったことがあるけれど、これで永住はもう無理なのでは…」そんなご不安を抱えてご相談に来られるお客様は少なくありません。

結論からお伝えすると、交通違反があるからといって、必ず永住許可が受けられないわけではありません。

大切なのは、違反の内容・回数・その後の生活状況などを総合的に見て判断される、という点です。

「白切符・青切符・赤切符」と永住申請の関係

白切符 点数
青切符 点数 反則金
赤切符 点数 罰金刑
軽微な違反:「白切符」

いちばん軽いとされる違反が、いわゆる「白切符」です。

  • 正式名称:告知票
  • 処分内容:違反点数のみ
  • 反則金や罰金の支払いはありません。

代表的な違反としては、シートベルトの装着義務違反(運転者だけでなく同乗者も含まれます)、チャイルドシートの使用義務違反などが挙げられます。

白切符レベルの軽微な違反が1回~数回あるだけで、永住申請がダメになるということはありません。

もちろん、違反はない方が望ましいのですが、うっかりしてしまった1回の違反だけで、永住をあきらめる必要はありません。

軽微な違反:「青切符」

次に多いのが、いわゆる「青切符」です。

  • 正式名称:交通反則告知書
  • 処分内容:違反点数 + 反則金の支払い

代表的な違反としては、駐停車違反、一般道で30km/h以下のスピード違反、免許不携帯運転などがあります。

ここでポイントになるのが、「反則金」は、刑事罰である「罰金」とは別物だということです。

  • 反則金:行政上の反則制度に基づく支払い(前科にはなりません)
  • 罰金:刑事罰として科されるお金(前科となります)

したがって、青切符で反則金を払ったというだけでは、「罰金刑」にはあたらず、永住許可の要件にある「罰金刑」には該当しません。

白切符・青切符の違反回数の目安

白切符・青切符で処理されるような軽微な違反が、少ない回数で収まっている場合は、通常は永住審査に大きなマイナスとはなりません。

目安としては、過去5年間で4回程度までであれば、通常は永住審査に大きく影響しないとされています。

過去5年間に5回以上(5回を含む)の交通違反がある場合には、たとえ内容が「白切符」や「青切符」で済む比較的軽微な違反であっても、永住申請に影響を及ぼす可能性が非常に高いといえます。

「昔の違反の回数を全部は覚えていない…」、「本当に5年以内に何回違反しているのか不安」というお客様も多くいらっしゃいます。

そのような場合は、警察署で「運転記録証明書(過去5年間)」を取得することで、過去5年間の違反歴を確認することができます。

重大な違反:「赤切符」

一方で、より重い違反になると、いわゆる「赤切符」の対象となります。

  • 正式名称:告知票・免許証保管証
  • 対象となる主な違反:一般道で30km/hを超える速度違反、飲酒運転、無免許運転など重大とされる違反

赤切符の場合は、違反点数は6点以上、免許停止または免許取消の可能性が高いです。さらに、刑事事件として扱われ、懲役・禁固または罰金刑が科される可能性があるという非常に重い処分となります。

この場合、前科がつくことになり、「素行善良」とは評価されにくく、原則として永住審査は極めて厳しくなります。

重い違反で刑事罰が科された場合、再び「素行善良要件」を満たすと判断されるまでには、一定の時間の経過が必要とされています。

一般的な目安としては、

  • 懲役・禁固刑の場合:刑の執行を終えてから 10年(執行猶予付きの場合は、その執行猶予が満了してから 5年)
  • 罰金刑の場合:刑の執行(罰金の納付など)から 5年

軽い交通違反1回は原則セーフ

たとえば、

  • 通行禁止の標識に気づかずに進入してしまった…
  • 一時停止をうっかり見落としてしまった…

といった、1点程度の比較的軽い違反が1回だけあるという場合、それだけを理由に「素行善良要件を満たさない」と判断されるケースは多くありません。

もちろん、違反がないに越したことはありませんが、「一度違反をしたから、もう永住は絶対に無理」と必要以上に落ち込む必要はありません。

重い交通違反1回でも要注意

一方で、入管が特に重く見るのは、明らかな故意性が高いと考えられる交通違反です。例えば、

  • 飲酒運転
  • 無免許運転
  • 制限速度を30km以上超えるスピード違反
  • ひき逃げ など

このような違反は、「うっかり」ではなく、ルールを分かっていながらあえて守らなかった行為とみなされやすく、1回だけでも永住申請が不許可となる可能性が非常に高くなります。

また、軽い違反であっても、短期間に何度も繰り返している場合には、日頃からの法令遵守意識が疑われるため、注意が必要です。

「反則金」と「罰金」の違い

交通違反に関するお金の支払いには、大きく分けて次の2種類があります。

  1. 反則金:一時停止違反や軽いスピード違反など、行政処分としての扱い
  2. 罰金:刑事裁判が前提となる「刑事罰」としての罰金

この2つは法律上の性質が異なります。

反則金の納付そのものが、直ちに永住申請に不利になるわけではありません。

ただし、反則金の対象となる違反であっても、回数が多い場合や態様が悪質な場合は、やはり審査で厳しく見られます。

一方で、「罰金刑」が確定している場合には、「前科」として扱われ、原則として永住審査は極めて厳しくなります。

交通違反歴のポイント

交通違反歴がある状態で永住申請を検討される場合、例えば次のような点を整理しておくとよいでしょう。

  • いつ・どのような違反をしたのか?(内容・回数・時期)
  • 反則金なのか、罰金なのか?
  • 免許停止や取消などの行政処分を受けたことがあるか?
  • その後、同じような違反を繰り返していないか?
場合によっては、一定期間申請のタイミングを見直した方がよいケースや、反省・再発防止についてきちんと説明する重厚長大な反省文・誓約書を添付した方がよいケースもあります。

最後に

AGS行政書士法人では、これまでの交通違反の内容の整理、現在の状況を踏まえた永住申請の可否の見立て、申請のタイミングや準備すべき資料のアドバイス、必要に応じた説明書・申述書の作成サポートなどを通じて、お客様が少しでも安心して永住申請に進めるよう、お手伝いをしています。

交通違反があるからといって、すぐにあきらめてしまう必要はありません!

「自分のケースで申請して大丈夫なのか知りたい」、「準備の仕方だけでも相談したい」といった段階でも構いませんので、どうぞお気軽にご相談ください。

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