永住申請の3つの要件|年収・納税・出国日数等を専門家が解説

はじめに

日本の永住許可は、今後も日本で安定して暮らしていくための最終的な在留資格と言われる一方で、具体的な条件や審査のポイントがわかりにくく、不安を感じている方も多くいらっしゃいます。

本記事では、永住許可の審査で特に重要となる①素行(交通違反・資格外活動など)、②年収・扶養状況、③在留年数・出国日数・納税状況など3つの要件に分けてわかりやすく解説します。

永住ビザ申請の3つ要件

永住許可申請では、主に次の3つの要件から総合的に審査されます。

  • 素行善良要件
  • 独立生計要件
  • 国益適合要件

以下、それぞれの要件について具体的にご説明します。

①素行善良要件

素行善良要件とは

「素行が善良であること」とは、日常生活において法令を遵守し、社会人としてふさわしい生活を保っているかどうか、という観点から判断されます。

以下のような場合には、「素行がよくない」と判断され、永住許可が難しくなる可能性があります。

  • 過去に刑事事件で有罪判決(懲役・禁錮・罰金等)を受けた場合
  • 軽い交通違反であっても、何度も繰り返している場合

重い違反で刑事罰が科された場合、再び「素行善良要件」を満たすと判断されるまでには、一定の時間の経過が必要とされています。

一般的な目安としては、

  • 懲役・禁固刑の場合:刑の執行を終えてから 10年(執行猶予付きの場合は、その執行猶予が満了してから 5年)
  • 罰金刑の場合:刑の執行(罰金の納付など)から 5年
交通違反の影響

交通違反について、単に通行禁止を通行した場合等1点ケースだけで素行善良要件を満たさないとはされませんが、明らかな故意による違反ケース(飲酒運転、無免許運転、30キロを超えるスピード違反等)では、永住申請の要件を満たさないとされる可能性が高いです。

犯罪の前科があるからといって、必ず永住許可が認められないというわけではありません。また、行政罰としての交通違反の「反則金」と、刑事罰としての「罰金」とでは性質が異なり、反則金の納付それ自体が直ちに永住許可申請に不利になるわけではありません。

⇒⇒永住申請と交通違反|許可できる違反回数は?

資格外活動違反の影響

「家族滞在」の在留資格で在留している方が、資格外活動許可で認められた時間(原則として週28時間)を超えてアルバイトをしていた場合なども、素行善良要件を満たさないと判断されることがあります。

在留資格の範囲を超えた活動や、無許可での就労などは、永住申請にとっても重大なマイナスなポイントとなりますので、日頃から活動内容や勤務時間管理に十分ご注意ください。
日本人・永住者の配偶者等の場合

日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子として永住申請を行う場合には、原則として「素行善良要件」に適合することを要りませんが、重大な犯罪歴や悪質な違反行為がある場合には、在留資格にかかわらず審査に影響する可能性がありますので、個別の事情に応じた判断が必要です。

②独立生計要件

年収の目安

具体的な年収の基準は法律上明示されているわけではありませんが、一般的な目安としては、次のように考えられています。

  • 単身者の場合:年収300万円程度
    → これを大きく下回る場合、永住許可の取得はかなり難しくなります。

  • 扶養家族がいる場合:
    扶養者1人あたり約80万円を加算した年収が求められるイメージです。

(例)夫婦2人+子供2人世帯の場合
 → 300万円+80万円+80万円+80万円=年収540万円程度が1つの目安
ただし、これはあくまで「目安」であり、実際の審査では、世帯全体の収入状況、貯蓄額や不動産などの資産、職歴・雇用形態(正社員・契約社員など)、継続的な収入見込みなどを総合的に判断されます。
「経営・管理」の在留資格で永住許可を申請する場合には、個人の年収だけでなく、①経営する会社の業績、②長期間にわたる赤字決算の有無、③事業の継続性など、会社の経営状態も併せて確認されるのが一般的です。
世帯収入・資産の考慮

「申請者本人1人の収入だけで全ての生活費を賄わなければならない」という意味ではありません。

配偶者やその他家族の収入、貯蓄・不動産などの資産も含めて、世帯として安定した生活ができているかという観点から審査が行われます。

日本人・永住者の配偶者等の場合

日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子を理由とする永住申請の場合、独立生計要件は原則として審査されませんが、極端に収入が低い場合や、長期的に公的扶助に依存している場合は、やはり審査に影響が出る可能性がありますので注意が必要です。

③国益適合要件

在留年数の目安

国益適合要件においては、主に次の点が重視されます。

原則として引き続き10年以上日本に在留していること。この期間のうち、就労資格をもって引き続き5年以上在留していることを求められます。

ここでいう「引き続き」とは、在留期間を切らすことなく、日本に継続して在留している状態を指します。

入国許可(またはみなし再入国許可)を取らずに出国した場合や、海外滞在中に再入国許可の有効期限が切れた場合は、その時点で在留資格が失効したとみなされ、「引き続き」の要件を満たさなくなり、在留期間は最初から数え直しになります。

出国日数の目安

出国日数についても、次のような基準が一般的な目安とされています。

  • 1回の出国が3か月を超えないこと
  • 1年間の合計出国日数が100日を超えないこと

海外出張や一時帰国が多い方は、パスポートの出入国スタンプや出入国記録をあらかじめ整理しておくことをおすすめします。

公的義務の履行状況

次のような公的義務を期限どおりに履行しているかどうかも、国益適合要件の重要な判断要素です(一般の就労ビザの場合)。

  • 直近5年間の所得税・住民税などの各種税金の納付
  • 直近2年間国民年金・厚生年金保険料又は国民健康保険料・社会保険料の支払い
  • 所属機関等に関する届出(就労先の変更届出など)

これらの義務が未納・滞納になっている場合や、長期間にわたって支払い遅延が続いている場合には、永住許可が厳しく判断される傾向にあります。


ご自身では判断が難しい場合や、「ギリギリ条件を満たしているかもしれない」というケースでは、申請のタイミングや準備の仕方によって結果が大きく変わることもあります。

  • 年収が少し足りないかもしれない…
  • 過去の交通違反がどのくらい影響するのか知りたい…
  • 海外出張や一時帰国が多く、出国日数が気になっている…

このようなご不安をお持ちの方に対し、AGS行政書士法人は、

  • 現在の在留状況
  • 年収・世帯収入・資産状況
  • 納税・年金・保険料の納付状況
  • 交通違反・前科などの違反歴

といったポイントを丁寧にヒアリングしたうえで、永住申請が可能かどうかの見通し、不許可となり得るリスクの有無、申請に適したタイミング、今から整えておくべき具体的な対策を、できるだけわかりやすく整理、説明します。まずお気軽にご相談ください。

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