【最新版】中国人と結婚する手続き完全ガイド|必要書類と流れを解説

はじめに
中国人と日本人の国際結婚は、日中双方で婚姻手続きが必要です。結婚手続きは日本人同士の婚姻届とは異なり、どちらの国で先に手続きを行うかによって、必要書類や流れが大きく変わります。
この記事では、中国人と日本人の国際結婚に関して、結婚の条件、「中国方式」・「日本方式」それぞれの手続きの流れ、必要書類や注意点、そして配偶者ビザ申請のポイントまで、わかりやすく解説します。
中国と日本の結婚要件
国際結婚では、どこで婚姻手続きをするかによって必要書類が変わりますが、まず大切なのは、日本側・中国側それぞれの法律上の婚姻要件を満たしていることです。
日本の結婚条件
日本での結婚(婚姻)を成立させるには、主に次の要件があります。
- 結婚年齢:18歳以上であること(男女とも)
- すでに婚姻していないこと(重婚はできません)
- 近い親族同士ではないこと(近親婚の禁止)
- 婚姻届が受理されること(当事者の署名に加え、成年の証人2名の署名が必要です。)
- 再婚禁止期間::女性は前婚の解消・取消しの日から100日を経過するまで再婚できません。
中国の結婚条件
中国(中国本土)の法律上の主な要件は次のとおりです。
- 結婚年齢:男性 22歳以上、女性 20歳以上
- すでに婚姻していないこと(重婚はできません)
- 近親婚の禁止:直系血族、または三代以内の旁系血親は結婚できません。
- 再婚禁止期間:男女ともになし
- 婚姻登記が必要:当事者双方が婚姻登記機関で申請し、要件を満たすと結婚証が発給され、登記の完了により婚姻関係が成立します 。
どちらで先に結婚手続きするべき?
結論として、中国方式でも日本方式でも婚姻自体は有効です。ただし、いまの居住地や今後の生活拠点によって「やりやすさ」が変わります:
- 中国人の方がすでに日本在住(在留カードあり):日本で先に手続きがスムーズなことが多いです。
- 中国で「結婚証」を取得したい:中国で先に手続きが必要になります。
中国で先に国際結婚の手続きをする場合(中国方式)
- 日本の法務局または中国の日本国大使館・領事館で日本人の【婚姻要件具備証明書】を取得
- 外務省で婚姻要件具備証明書のアポスティーユ取得(日本の法務局で取得する場合)
- 【婚姻要件具備証明書】の中国語翻訳を準備(日本の法務局で取得する場合)
- 中国の婚姻登記機関に婚姻登記をして「結婚証」を取得
- 中国で中国配偶者の「結婚公証書」、「国籍公証書」等書類を取得
- 日本側提出用の日本語翻訳を準備
- 日本の役所または中国の日本国大使館・領事館へ婚姻届の提出
① 日本の法務局または中国の日本国大使館・領事館で日本人の【婚姻要件具備証明書】を取得
婚姻要件具備証明書とは、日本国籍を有する当事者が外国の方式によって婚姻する場合に、その日本人が、日本法上の婚姻の成立要件を具備していることを証明するものです。
♦ 日本の法務局で取得する場合
- 請求できる方:日本国籍を有する本人
- 請求方法:婚姻要件具備証明書の請求及び受領は、不当な請求を防止するため、必ず本人の来庁が必要です。代理人による請求及び受領、郵送による請求及び受領はできません。
- 必要書類:
- 証明書交付請求書(窓口に備え付けています。)
- 請求者の戸籍全部事項証明書又は個人事項証明書
- 請求者の写真付き公的身分証明書(運転免許証やパスポート等)
- 中国配偶者の情報(パスポートは提出不要)
♦ 中国の日本国大使館・領事館で取得する場合
- 請求できる方:日本国籍を有する本人(中国配偶者の必要書類も持参する場合は中国配偶者が来館する必要はありません。)
- 必要書類:
- 本人(日本人):パスポート、戸籍謄本:1通(発行から3か月以内のもの)、申請書(窓口に備え付けています。)
- 婚姻相手(中国人):居民身分証、居民戸口簿(現在、婚姻していないことが確認できるもの)
在中国の日本国大使館・領事館で【婚姻要件具備証明書】を取得する場合、外務省のアポスティーユ取得や中国語翻訳は原則不要です。ただし、婚姻登記処によって取扱いが異なることがあるため、事前に受理要件を確認したうえで準備しましょう。
② 外務省で婚姻要件具備証明書のアポスティーユ取得(日本の法務局で取得する場合)
近年の変更点として、中国本土向けの日本の公文書は、原則「アポスティーユ」で足り、日本および在日中国大使館・総領事館の領事認証が不要となります。
⇒参考:https://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/lszc/LSZJRZRY/202310/t20231024_11167061.htm
婚姻要件具備証明書を取得した後、外務省で婚姻要件具備証明書のアポスティーユ取得することが必要です。
アポスティーユは、日本の官公署、自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明のことです。郵送での申請及び窓口での申請を受け付けておりますが、可能な限り、郵送での申請をおすすめです。
郵送での申請の同封いただくもの:
- 証明が必要な婚姻要件具備証明書(発行日より3か月以内の原本)
- 申請書
- 委任状(代理人の方による申請のみ)
- レターパックライトなど返送用封筒(返送先要記入)
⇒申請手続きガイド:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000608.html
③ 【婚姻要件具備証明書】の中国語翻訳を準備(日本の法務局で取得する場合)
在中国の日本国大使館・領事館で【婚姻要件具備証明書】を取得する場合には、この手続きは原則不要です。
中国へ提出する日本語書類は、中国語の翻訳の添付を求められることが一般的です。
翻訳は、ご本人様が行っていただいても差し支えありません。行政書士にご依頼いただくことも可能です。当社には中国出身の行政書士が在籍しております。お忙しい方は、お気軽にご相談ください。
④ 中国の婚姻登記機関に婚姻登記をして「結婚証」を取得
上記の書類を揃ったら、日本人及び中国人の双方が必要書類を持参して、中国人の戸籍所在地の省、自治区、直轄市の人民政府が指定する婚姻登記機関に出頭して登記手続きを行い、「結婚証」を受領します。
- 日本人の必要書類:【婚姻要件具備証明書】、【婚姻要件具備証明書】の中国語訳文、パスポート
- 中国人の必要書類:居民戸口簿、居民身分証、パスポート
⑤ 中国で中国配偶者の「結婚公証書」、「国籍公証書」等書類を取得
結婚証が発行された後は、日本での結婚手続き及び配偶者ビザの申請で必要な「結婚公証書」、「国籍公証書」を取得する必要があります。結婚公証書、国籍公証書は、中国人配偶者の戸籍所在地の公証処で発行されます。
⑥ 日本側提出用の日本語翻訳を準備
⑤の「結婚公証書」、「国籍公証書」の日本語の翻訳文が必要です。
翻訳は、ご本人様が行っていただいても差し支えありません。行政書士にご依頼いただくことも可能です。当社には中国出身の行政書士が在籍しております。お忙しい方は、お気軽にご相談ください。
⑦ 日本の役所または中国の日本国大使館・領事館へ婚姻届の提出
♦ 中国の日本国大使館・領事館に届け出る方法
中国国内で「結婚証」を受領した後(即ち婚姻成立後)、3か月以内に中国の日本国大使館・領事館に婚姻届を提出してください。婚姻届を提出してから日本国内の戸籍に登記が完了するまでに約1~2か月かかります。
必要書類:
- パスポート(日本人)
- 身分証明書(中国人配偶者も来館する場合のみ)
- 婚姻届
- 結婚公証書
- 結婚公証書の和訳
- 中国人配偶者の国籍公証書
- 中国人配偶者の国籍公証書の和訳
♦ 日本の役所に届け出る方法
中国国内で「結婚証」を受領した後(即ち婚姻成立後)、必要書類を整えて、日本人の方(二人揃って行く必要はありません。)は3か月以内に本籍地の市区町村に直接婚姻届を提出してください。
必要書類:
- 婚姻届
- 戸籍謄本
- 本人確認書類
- 結婚公証書
- 結婚公証書の和訳
- 中国人配偶者の国籍公証書
- 中国人配偶者の国籍公証書の和訳
日本で先に国際結婚の手続きをする場合(日本方式)
中国人配偶者がすでに日本在住(在留カードあり)の場合は、日本での結婚手続きを先に行う(日本方式)とスムーズです。
- 在日中国大使館・領事館で中国人配偶者の【無配偶声明書】の公証書を取得
- 日本側提出用の【無配偶声明書】の公証書の日本語翻訳文を準備
- 日本の役所で婚姻届の提出
- 中国人配偶者の戸口簿の婚姻状況欄を「未婚」から「既婚」に変更
① 在日中国大使館・領事館で中国人配偶者の【無配偶声明書】の公証書を取得
必要書類:
- パスポート
- パスポートの写真ページ部分のコピー
- 在留カード
- 在留カード両面のコピー
- 声明書(中国人本人が大使館へ出向いて申請し、領事官員の面前で声明書に署名する必要があります。)
- 大使館が必要と判断するその他の書類
② 日本側提出用の【無配偶声明書】の公証書の日本語翻訳文を準備
③ 日本の役所で婚姻届の提出
無配偶声明書の公証書とその日本語翻訳文を取得した後、二人揃って、市区町村役場にで婚姻届を提出します。
必要書類:
- 日本人:婚姻届、身分証明書(運転免許、パスポートなど)
- 中国人:無配偶声明書の公証書、無配偶声明書の公証書の日本語翻訳文、在留カード、パスポート、申述書(役所の窓口に用意)
④ 中国人配偶者の戸口簿の婚姻状況欄を「未婚」から「既婚」に変更
日本国内で先に婚姻手続きした方の場合中国国内においても有効な婚姻と認められ、中国国内であらためて婚姻登記又は承認手続きを行う必要はありません。しかし、中国人の戸籍簿(居民戸口簿)の婚姻状況欄を「既婚」に変更する手続きを行う必要があります。
その為には、日本国内で結婚したという「婚姻受理証明書」を日本で婚姻届を提出した市区町村から入手し、外務省で認証を得た「婚姻受理証明書」を中国人の戸籍所在地の派出所に提出します。
その際、日本語から中国語への翻訳文も求められる可能性がありますので、直接お問い合わせ下さい。
配偶者ビザの申請
以上で中国人と日本人の国際結婚手続きを終了します。日中双方で婚姻手続が完了したら、配偶者ビザの在留資格認定証明書の申請や変更申請を行います。
⇒⇒【保存版】日本人の配偶者ビザとは?取得条件・必要書類・審査のポイントを専門家が解説
中国人との国際結婚及び配偶者ビザ申請の注意点
中国の「結婚証」を取得したい場合は「中国方式」が必要
中国政府発行の「結婚証」を取得したい場合は、中国で婚姻登記を行う(中国方式)が必要になります。
先に日本で婚姻が成立していると、中国の婚姻登記処であらためて結婚証を発行する手続きができないため、結婚証の取得を希望される方は、手続きの順番にご注意ください。
離婚や死別を経験している場合別途書類が必要
中国人の方・日本人の方のどちらかに、離婚や死別などの経歴がある場合は、追加書類が必要になることがあります。(必要書類は提出先・状況により異なります。)
- 日本人側に離婚・死別の過去がある場合:離婚は離婚届受理証明書、死亡は死亡届受理証明書
- 中国人側に離婚・死別の過去がある場合:離婚調停書・離婚公証書、または死亡公証書
書類の「有効期限」に注意
書類には有効期限(提出期限)が設けられていることが多く、取り直しになるケースもあります。目安として、日本発行の書類は「3か月以内」、海外発行の書類は「6か月以内」と扱われることがあります。
短期滞在から配偶者ビザへの変更許可申請
「短期滞在」から「日本人の配偶者等」への変更は原則として例外的な取扱いですが、婚姻の成立などにより「やむを得ない特別の事情」が認められる場合は、在留資格認定証明書がなくても許可されることがあります。
最後に
日本人が中国で、または中国人が日本で結婚手続きを行う場合は、原則として自国が発行する婚姻要件を証明する書類の取得が必要になります。さらに、提出する書類は提出先の国の言語への翻訳を求められることが多いため、準備にはある程度の時間と手間がかかります。
ご不安な方は、書類準備をサポートしてくれる専門家へのご相談もご検討ください。
また、どちらかに離婚歴・死別歴がある場合は、状況に応じて追加書類が必要となることがあります。早めに必要書類を確認しておくと安心です。配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の申請は審査に一定の期間を要するため、スケジュールに余裕を持って進めることが大切です。
AGS行政書士法人では、国際結婚の手続き整理から、配偶者ビザ申請まで、お二人の状況に合わせてスムーズに進められるよう丁寧にサポートしております。
中国人・日本人のカップルで結婚をご検討中の方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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