技術・人文知識・国際業務ビザとは?要件・学歴・審査ポイントをわかりやすく解説

2025.09.18


はじめに

日本で専門的な知識やスキルを活かして働く外国人が取得する代表的な在留資格が「技術・人文知識・国際業務ビザ(通称:技人国ビザ)」です。このビザは、理系・文系・国際業務と幅広い分野をカバーしており、就職活動中の留学生や企業の採用担当者にとって非常に重要な在留資格です。

ここでは、ビザの概要、取得要件、学歴や実務経験の基準、審査のポイントなどをわかりやすく解説します。

技術・人文知識・国際業務ビザとは

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、平成26年(2014年)の入管法改正により、従来の「技術」と「人文知識・国際業務」を統合して新設された在留資格です。これにより、文系・理系を問わず、幅広い分野で専門知識を活かした就労が可能になりました。

改正後は、例えば同一企業内で文系職種から理系職種へ異動する場合でも、原則として在留資格変更の必要がなくなりました。また、学歴や職務経験の関連性が柔軟に評価されるようになり、許可の範囲が広がっています。

技人国ビザの3つの区分

技術(理系分野)

理学・工学など自然科学分野の知識・技術を活かす職種(例:エンジニア、システム開発、設計、製造管理など)

人文知識(文系分野)

法律学・経済学・社会学などの人文科学分野の知識を活かす職種(例:経理、人事、マーケティング、企画、通訳など)

国際業務(外国語・文化関連)

外国の文化や感受性を必要とする職種(例:通訳・翻訳、海外営業、貿易業務、外国人顧客対応など)

技術・人文知識・国際業務ビザの取得要件

学歴または実務経験

原則として「専門学校卒業以上」の学歴が必要です。10年以上の実務経験があれば、学歴がなくても申請可能です。専攻した内容と実際の仕事内容が関連していることが求められます。

就職先の適格性

就職先企業の規模、財務状況、継続性なども審査対象です。赤字が続く小規模企業や個人事務所は、安定性の証明が求められます。

報酬(給与)水準

日本人と同等額以上の報酬が支払われることが条件です。

中国の教育機関に関する注意点

中国には、大学、成人教育、専科学校など様々な教育機関があります。「技術・人文知識・国際業務」の要件に認められる学歴は、大学院、大学、専科学校、短期職業大学、学位を与えることができる成人教育機関(学士学位証書が必要)を卒業して学位を取得した者です。

実務運用上は、大学を卒業しても学位を取得しければ不許可となるリスクが高い傾向となっています。

提出書類については、卒業証明書のみならず、学位証明書も求められています。

派遣契約の場合

派遣の場合、派遣元のみならず、派遣先も審査対象となっています。つまり、外国人本人、派遣元会社、派遣(就労)先会社の三つの審査があります。

派遣元の審査については、派遣事業に従事する必要な許認可が適正に取得するか、会社の安定性・継続性があるか等内容が問われます。派遣(就労)先会社の審査については、業務内容を技術・人文知識・国際業務ビザの要件に満たすかどうかが審査ポイントです。

なお、複数の派遣元と派遣契約を締結し、複数の派遣先会社に派遣されても、技術・人文知識・国際業務ビザを取ることが可能ですが、いずれの派遣先の業務内容が審査対象となり、申請要件に満たさなければなりません。

ホテルに就職する場合

大学や観光専門学校を卒業した後、観光地で外国人の利用が多いホテルで就職しようとして、技術・人文知識・国際業務ビザに変更申請する場合には、現時点実務上、許可しやすく傾向になっています。

フロントで接客業務は単純労働と見なされやすいですが、ホテルの規模、知名度、外国人利用数などは重要です。さらに、海外市場の拡大、海外客に対する様々なサービス、指導など業務に従事する必要な外国語の能力を持つことの証明も重要です。

実務上、観光地のリゾートや観光ホテルで許可を取得する成功率が高いですが、ビジネスホテルや規模小さい旅館などでは不許可リスクが高いです。

専門学校の卒業生の注意点

専門学校から卒業の留学生は、大卒等の場合と比べ、就職内容と学校で学んだ内容との関連性の審査がより厳しくなっています。したがって、専門士は就職の時より慎重に選択しなければなりません。一般的に、工業や商業を専修した場合は、関連性の証明が容易ですが、文化や芸術の場合は、関連性の証明が困難です。

在留期間が決まる際のポイント

在留期間(1年・3年・5年)は、以下の要素で決まります。

  • 雇用先の規模や安定性
  • 申請人の学歴・職歴・実績
  • 給与水準・役職
  • 日本語能力・成果物・推薦書 など

申請時には、入管法上の必須書類に加えて、採用理由書・日本語能力証明・実績資料などを提出すると、より長い在留期間が認められる可能性があります。

よくある質問Q&A

Q1.審査で重視されるポイントは何ですか?

A.主な審査ポイントは以下のとおりです。

  • 学歴や専攻と職務内容の関連性
  • 雇用先企業の安定性・継続性
  • 日本人と同等額以上の給与
  • 職務内容の専門性
  • 日本語または外国語能力の証明

これらを裏付ける資料を提出することで、審査に通りやすくなります。

Q2. 在留期間(1年・3年・5年)はどうやって決まるのですか?

A.在留期間は、申請人や雇用先の状況によって決まります。会社の規模・実績、申請人の学歴・職歴・報酬額・実績などが総合的に判断されます。

安定した勤務先、継続的な雇用契約、日本語能力証明などがある場合は、3年または5年が認められやすいです。

Q3. 不許可になる主な原因は?

A.以下のような場合に不許可になることが多いです。

  • 学歴と職務内容に関連がない
  • 雇用先の経営状態が不安定(赤字など)
  • 派遣先の業務がビザ対象外
  • 実務経験の証明が不十分
  • 単純労働と判断される職種

不許可理由書をもとに再申請することで、許可に至るケースもあります。

Q4. どんな書類を提出すればよいですか?

A.基本的には以下のような書類が必要です。

  • 卒業証明書・学位証明書(または職務経歴書)
  • 雇用契約書
  • 会社の登記事項証明書・決算書類
  • 業務内容説明書
  • 申請理由書(任意)
  • 審査の内容により追加書類が求められることもあります。
Q5. 行政書士に依頼すると何をしてもらえますか?

A.行政書士は、申請書類の作成から提出、入管とのやり取りまで一貫してサポートします。特に「学歴と業務内容の関連性」や「派遣先業務の適格性」など、判断が難しい部分を専門的に分析し、許可の可能性を高めます。不許可後の再申請にも対応可能です。

Q6. 申請から許可までどのくらい時間がかかりますか?

A.通常、1〜3か月程度が目安です。ただし、繁忙期や審査内容によってはそれ以上かかる場合もあります。更新の場合は、在留期限の3か月前から申請可能です。

まとめ

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、外国人が日本で専門的な知識やスキルを活かして働くための最も一般的な就労ビザです。学歴と職務内容の関連性、雇用先の安定性、給与水準などが審査の重要ポイントです。特に専門学校卒業者や派遣就労の場合は、関連性や安定性を丁寧に説明する書類準備が必要となります。

行政書士に相談することで、事前にリスクを把握し、より確実な「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得を目指すことができます。

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