外国人の永住許可が厳格化へ?「厚生年金30年水準」の意味と改定報道を詳しく解説


はじめに

本記事は、2026年7月24日付の報道内容を基にした分析であり、正式な改定案や最終的なガイドラインの内容を断定するものではありません。今後公表される正式案では、内容や適用時期が変更される可能性があります。
本記事の内容は、報道および現在公表されている情報をもとにした、AGS行政書士法人の独自の分析・見解です。正式に決定された内容ではなく、分析内容の正確性を保証するものではありません。

2026年7月24日、出入国在留管理庁が、外国人の永住許可の要件を定めるガイドラインについて、厳格化する方向の改定案をまとめたと報じられました。報道では、年収や将来の年金、預貯金、日本語能力などについて、今までより詳しく審査する方向が示されています。特に注目されているのが、「日本人世帯の平均を上回る年収」と「厚生年金30年水準」という二つの基準です。

そのため、今の時点で「新しい条件がすでに決まった」と考える必要はありません。この記事では、2026年7月24日付の報道内容をもとに、今後どのような変更が考えられるのかを、できるだけ分かりやすく説明します。

今回報道られた主な変更内容

報道された項目  内容
年収 原則として日本人世帯の平均を上回る年収を求める
年金 基準年収で厚生年金に30年間加入した場合の年金額以上の受給見込みを求める
預貯金等  年金額が不足する場合は、預貯金等で補うことを認める
日本語能力  「自立した言語使用者」とされる水準を考慮する
制度・ルールの理解  日本の制度や生活上のルールに関する理解度を考慮する
子どもの就学  学齢期の子どもを就学させていない場合、消極的に評価する
配偶者の特例  婚姻3年・日本在留1年から、婚姻5年・日本在留3年に延長する
適用時期  原則として2027年4月以降の申請に適用し、収入基準は2026年4月以降の申請にも適用する

現在の永住許可審査でも、安定した収入があるか、税金・年金・健康保険料を正しく支払っているか、これからも日本で安定した生活を続けられるかが確認されています。ただし、現在のガイドラインには、「年収〇〇万円以上」「年金が〇〇万円以上」という全国共通の金額は書かれていません。申請する本人の収入だけではなく、配偶者の収入、扶養している家族の人数、預貯金、仕事の状況、今後の生活などを合わせて判断しています。

今回の改定案では、現在の収入だけではなく、仕事を辞めた後も、年金や預貯金で安定した生活ができるかを確認する可能性があります。

「厚生年金に30年間入ること」が必要になる?

今回の報道で、最も分かりにくいのが「厚生年金30年水準」という言葉です。

この言葉だけを見ると、永住許可を受けるためには、申請する本人が厚生年金に30年間入っていなければならないように見えますが、報道の内容から考えると、「本人が実際に30年間加入していること」を条件にするものではないと考えられます。

比べるのは、次の二つです。

  • 申請人が将来もらえる予定の年金額
  • 基準となる年収で、厚生年金に30年間入った人がもらえる年金額

つまり、「30年」は申請人に必要な加入年数ではありません。比べるための年金額を計算するモデル期間だと考えられます。

そのため、日本で厚生年金に入っていた期間が30年未満でも、給料が高く、将来の年金額が十分であれば、基準を満たす可能性があります。反対に、厚生年金に長く入っていても、長い間の給料が低かった場合は、基準となる年金額に届かない可能性があります。

現時点では、次のように理解するとよいでしょう。

  • 厚生年金に30年間入ることが必須と決まったわけではない
  • 加入年数ではなく、将来もらえる年金額を確認する可能性が高い
  • 年金が足りない場合でも、預貯金などで補える可能性がある
  • 日本での年金加入期間が短いだけで、申請できなくなるわけではない

将来の年金額はどのように確認する?

ここでいう年金の見込額とは、これまでに支払った年金保険料の合計金額ではありません。基本的には、65歳以降に、毎年いくらの老齢年金をもらえる予定なのか、という金額です。ただし、どのように計算するのかは、まだ発表されていません。

例えば、次の点はまだ分かっていません。

  • 国民年金と厚生年金の両方を含めるのか
  • 配偶者の年金も合わせて計算できるのか
  • 海外の公的年金も認められるのか
  • 企業年金、iDeCo、個人年金保険なども認められるのか
  • すでに年金をもらっている人は、実際の受給額を使うのか

また、50歳未満の方と50歳以上の方では、「ねんきん定期便」に表示される年金額の計算方法が違います。若い方は、日本で年金に入っていた期間がまだ短いため、現在までの実績だけで計算すると、年金額が低く表示されやすくなります。

報道では、若い方については年齢も考えて、必要な預貯金額を低くする方向が示されています。そのため、若い方の年金見込額が低いという理由だけで、不許可になるとは限りません。

年金が足りない場合、いくらの預貯金が必要?

報道によると、将来もらえる年金額が基準に届かない場合でも、預貯金などの資産があれば、足りない部分を補うことができるとされています。

例えば、基準となる年金額が年間160万円で、本人が将来もらえる年金額が年間120万円の場合、毎年40万円が不足します。仮に、不足する金額の20年分を準備する必要があるとすれば、次の計算になります。

40万円×20年=800万円

ただし、これは計算方法を説明するための例です。「800万円が正式な基準」という意味ではありません。

個人事業主、国民年金を中心に入っている方、役員報酬を低くしている会社経営者、日本で働いた期間が短い方は、将来の年金額が低くなる可能性があります。しかし、預貯金やその他の資産、事業の安定性がどのように評価されるのかは、まだ決まっていません。年金額だけを見て「永住申請はできない」と判断する必要はありません。

「日本人世帯の平均を上回る年収」とはいくら?

必要な年収額も、まだ正式には発表されていません。

「日本人世帯の平均」といっても、どの統計を使うのか、本人だけの年収を見るのか、夫婦の収入を合わせるのかによって、必要な金額が変わります。

厚生労働省の2025年国民生活基礎調査によると、2024年の1世帯当たりの平均所得は575万2,000円です。この数字を基準にする場合は、600万円前後が一つの目安になる可能性があります。

ただし、現在は次の点が決まっていません。

  • すべての世帯の平均を使うのか
  • 働いている世帯だけの平均を使うのか
  • 本人だけの年収を見るのか
  • 配偶者の収入も合わせてよいのか
  • 扶養家族の人数を考えるのか
  • 1年間だけでなく、過去数年間の収入も見るのか

現在の永住許可審査では、本人だけでなく、同じ世帯で生活している配偶者などの収入も含めて判断することがあります。そのため、新しい基準でも、夫婦の継続的な収入を合わせて、世帯全体で判断する可能性が比較的高いと考えられます。

例えば、申請人本人の年収が400万円、配偶者の年収が300万円の場合、世帯全体の年収は700万円です。このような場合に、本人の400万円だけを見るのか、夫婦の700万円を見るのかは、正式な基準で確認する必要があります。

また、会社員の場合は給与の金額、個人事業主の場合は売上から必要経費を引いた所得を使う可能性があります。直近1年間だけではなく、過去数年間、安定した収入が続いているかも重要になると考えられます。

したがって、現時点では「年収600万円未満なら不許可」「本人一人で600万円以上必要」とは断定できません。

日本語能力について

報道では、「自立した言語使用者」とされる日本語能力を審査で考えるとされています。

これはB1またはB2と呼ばれる水準ですが、どちらが必要なのか、どの試験で証明するのかは、まだ決まっていません。そのため、現時点では「JLPTのN2が必須」とは断定できません。日本語の資格を持っていないだけで、必ず不許可になるという内容でもありません。

日本人・永住者等の配偶者の特例はどう変わる?

現在、日本人、永住者または特別永住者の配偶者には、日本に住んだ期間について特別なルールがあります。実際の夫婦生活が3年以上続き、さらに日本に1年以上続けて住んでいれば、原則10年の在留期間を待たずに永住申請ができる場合があります。

報道によると、この期間を次のように延長することが検討されています。

  • 夫婦生活(同居)の期間:3年以上から5年以上へ
  • 日本に続けて住んだ期間:1年以上から3年以上へ

これは、結婚してから5年が過ぎた後、さらに日本で3年間待つという意味ではありません。申請する時に、「結婚して5年以上」と「日本に続けて3年以上住んでいる」という二つの条件を両方満たす、という意味です。

例えば、結婚して8年、日本に続けて3年住んでいる場合は、報道された期間の条件を満たします。しかし、結婚して10年でも、日本に続けて住んだ期間が2年の場合は、この条件を満たしません。

また、この期間を満たせば、必ず永住が許可されるわけではありません。夫婦として本当に一緒に生活しているか、税金や社会保険料を正しく支払っているか、生活が安定しているかなども確認されます。

新しい基準はいつから始まる?

報道では、次の予定が示されています。

  • 2026年10月1日:永住許可のガイドラインを改定
  • 2027年4月以降:新しい基準を原則として適用
  • 年収に関する基準:2026年4月以降に申請した案件にも使う可能性

報道どおりの場合は、すでに永住申請をして、現在も審査を待っている方に、新しい年収基準が使われる可能性があります。

ただし、2026年4月以降に申請したすべての案件に、新しい基準が必ず使われると決まったわけではありません。申請した日を基準にするのか、審査や許可・不許可を決める日を基準にするのかも、正式な発表を確認する必要があります。

まとめ

今回の改定案では、現在の年収だけではなく、将来の年金や預貯金なども確認し、長い間、日本で安定した生活を続けられるかを審査する方向が示されています。ただし、年収の具体的な金額、年金の計算方法、必要な預貯金額、日本語能力の水準、すでに申請している方への適用方法など、重要な部分はまだ決まっていません。

♦♦現時点では、次のような情報をそのまま信じないように注意してください♦♦

  • 厚生年金に30年間入っていなければ申請できない
  • 年収〇〇万円未満なら必ず不許可になる
  • JLPTのN2がなければ申請できない
  • 子どもが学校に通っていなければ必ず不許可になる
  • 2026年4月以降の申請は、すべて新しい基準で審査される

正式な改定案が発表されるまでは、自分の収入、年金、預貯金、家族の状況などを整理しながら、今後の発表を待つことが大切です。

AGS行政書士法人では、正式な改定案や新しいガイドラインが発表されましたら、内容を確認し、ホームページで最新情報をお知らせします。

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